野村泰紀氏が語る宇宙の成り立ち、量子揺らぎからマルチバースまで

宇宙・物理

YouTubeチャンネル「VAIENCE バイエンス」の動画で、カリフォルニア大学バークレー校教授の理論物理学者、野村泰紀さんが、宇宙の成り立ちと、いまの物理学が向き合っている大きな謎について解説しています。この記事では、動画で語られた見方を話題ごとにたどりながら、確認できている事実を短く添えていきます。

理論物理学者の野村泰紀さんが宇宙の成り立ちについて語る動画のサムネイル

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宇宙最初の一瞬に刻まれた小さなムラ

この動画では、宇宙が生まれた直後のほんの一瞬に、「インフレーション」と呼ばれるとても急激な膨張が起きた、と言っています。

その膨張の時に、ミクロの世界の量子力学の効果によって、空間のあちこちに10万分の1ほどのわずかな密度の濃淡が生まれた、という見方が紹介されています。この「量子揺らぎ」が、のちの宇宙の姿を形づくる出発点になった、という流れです。

確認できていること:NASAによると、COBE衛星の観測で、宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンの名残の光)の温度には、平均から10万分の1ほどしか違わない、ごくわずかなムラがあることが示されています。ESAの発表では、こうした温度のムラは、ごく初期の宇宙でわずかに密度が違っていた場所にあたり、今の星や銀河の種だと説明されています。

ダークマターが支えた銀河づくり

宇宙の初めに、まわりより少しだけ密度の高かった場所は、そのぶん重力が強いため、物質を引き寄せてさらに密度を高めていった、という話が出てきます。この小さなムラが種となり、やがて銀河や星が生まれ、生命の誕生にもつながっていった、と語られています。

ただし、原子などでできた普通の物質の重力だけでは、今のような銀河や、宇宙の大きな構造を作るにはまったく足りない、という点にも触れています。物質全体のうち、普通の物質は約6分の1にすぎず、残りの約6分の5を、光では見えない「ダークマター」が占めていて、その重力が物質の集まる枠組みを作ったことで、銀河が生まれることができた、という見方です。

確認できていること:ESAによると、2013年に発表されたプランク衛星の観測結果では、星や銀河をつくる普通の物質は宇宙の4.9%、これまで重力の影響を通してしか見つかっていないダークマターは26.8%とされています。

減速するはずが、加速していた宇宙の膨張

野村さんは、宇宙に物質しかなければ、物質どうしが重力で引き合うため、宇宙の膨張はだんだん遅くなっていくはずだった、と話しています。ところが1998年ごろの観測で、膨張は遅くなるどころか、むしろ速くなっていることが分かった、という流れです。

その原因として挙げられているのが「ダークエネルギー」です。宇宙全体のエネルギーの約7割を占め、物質ではなく、空間(真空)そのものが持つエネルギーで、空間を押し広げる力としてはたらくため、膨張を加速させている、と説明されています。

確認できていること:スウェーデン王立科学アカデミーの発表によると、2011年のノーベル物理学賞は、遠くの超新星の観測から宇宙の膨張の加速を発見した3人の研究者に贈られていて、加速はダークエネルギーによるものと考えられているものの、その正体はなぞのままだとされています。NASAによると、ダークエネルギーは宇宙の約68.3〜70%を占めるとされています。

生命にちょうどよすぎる物理の数値

電子の質量や力の強さなど、この宇宙の物理のルールや数値が、驚くほど精巧にできているという話題も取り上げられています。理論の上では、これらの値が別の数であっても困らないはずなのに、ほんの少しずらしただけで、星も銀河も人間も存在できない「何もない宇宙」になってしまう、という見方です。

こうした絶妙な調整は「ファインチューニング」と呼ばれていて、なぜこれほど都合のよい値になっているのかが、大きな問いになっていると語られています。

確認できていること:スタンフォード哲学百科事典によると、多くの物理学者が、宇宙が生命を支えられるかどうかは宇宙の基本的な性質に微妙に左右されると考えていて、その例として、重力の強さや宇宙定数などが挙げられています。

無数の宇宙があるというマルチバースの考え方

この奇跡のような状態を、神のような存在を持ち出さずに、科学の言葉で説明しようとするのが「マルチバース」の考え方だ、という話が出てきます。物理法則や定数の値が異なる宇宙が数えきれないほどあるなら、その中に、たまたま生命が生まれる条件のそろった宇宙が含まれているのは、確率的にはむしろ自然なことだ、という見方です。

私たち人間は、そうした宇宙の一つで生まれ、自分たちの宇宙を観測している、と考えることができる、という点にも触れています。

確認できていること:カリフォルニア大学バークレー校の紹介ページでは、野村さんの研究の中心の一つとして、マルチバース宇宙論が挙げられています。スタンフォード哲学百科事典では、マルチバースはファインチューニングを説明する候補の一つとして、ほかの説明の候補や、それぞれへの批判とあわせて検討されています。

重力と量子力学をつなぐ超弦理論

物理学には、アインシュタインの一般相対性理論と、ミクロの世界を扱う量子力学を、そのままでは一つにまとめられないという大きな難題がある、と語られています。2つをそのまま組み合わせると、粒子どうしがぶつかる時などの計算の答えが「無限大」になってしまい、理論が成り立たなくなる、という説明です。

この動画では、その解決の道として「超弦理論」が取り上げられています。素粒子を大きさのない「点」ではなく、9次元の空間を動く、とても小さな1次元のひものような「弦」の振動として考えると、計算に出てくる無限大がたがいに打ち消し合い、量子力学と重力を矛盾なくまとめられる、という見方が示されています。

確認できていること:高エネルギー加速器研究機構(KEK)の発表によると、超弦理論では、すべての素粒子がとても小さな弦の振動のしかたとして表され、重力を含む4つの力が統一的に記述されるとされています。また、量子力学と矛盾しないためには、空間が9次元でなければならないと説明されています。

ブラックホールから見えてきたホログラフィー原理

量子重力の問題に別の角度から迫る手がかりとして、「ホログラフィー原理」も紹介されています。ブラックホールが持つ情報の量(エントロピー)が、体積ではなく、事象の地平面の表面積に比例するという発見が、そのきっかけになったと語られています。

そこから、重力を含む3次元の空間で起きることは、重力を含まない2次元の境界の情報として書き直せる、という考え方が導かれた、という話が出てきます。直接扱うのが難しい量子重力の問題を、重力を含まない、次元の低い理論に置き換えて解き明かしていく手がかりになっている、と野村さんは話しています。

確認できていること:物理学者ラファエル・ブッソ氏が2002年に学術誌「Reviews of Modern Physics」で発表したホログラフィー原理についての総説では、ある面の面積が、その近くの時空の領域に入る情報の量に上限を与えているという強い証拠がある、と述べられています。

おわりに

宇宙の始まりのほんの一瞬から、物理学の土台そのものに関わる問いまで、野村さんの話はとても大きなスケールで広がっていきます。確かめられていることと、これから確かめていくことが入りまじる分野だからこそ、難しく感じる部分も含めて、宇宙をめぐる問いの広がりをゆっくり味わってみるのもよさそうです。

僕のひとりごと

宇宙の話って、知れば知るほど面白いんだけど……同時に、僕の脳みそが完全に置いていかれます。

今回、理論物理学者の野村泰紀さんの解説を読んでみたんだけど、インフレーションだの量子揺らぎだのダークマターだのダークエネルギーだの、さらにマルチバース、超弦理論、ホログラフィー原理……。

もうね、言葉だけで「これは僕が踏み込んではいけない世界なのでは?」と思ってしまいます。

でも、話そのものはめちゃくちゃ興味深いんですよ。

宇宙が誕生した直後の小さな「量子揺らぎ」が、何十億年もかけて銀河や星を生み出し、最終的には地球や生命につながっている。

さらに、宇宙の膨張が加速している原因が「ダークエネルギー」らしい。

「ダークエネルギーって何?」「そもそも、なんでそんなものがあるの?」「というか宇宙って何なの?」……と、疑問が次から次へと湧いてきます。

そして極めつけが、「この宇宙の物理法則が、生命が存在できるほど絶妙な条件になっている」という話。ここまで来ると、「いやいや、偶然ってスゴすぎない?」となってしまいます。

しかも、それを説明する候補としてマルチバースが出てきて、「宇宙が無数にあるかもしれません」って……。もう話のスケールがデカすぎます。

正直、面白すぎて眠れないというより、僕の脳では処理できずに寝てしまうレベルの話です。

でも、マジ、興味津々で聞いてるけど理解不能です。たぶん僕の脳みそは、宇宙の謎を解明する前に強制終了すると思います。

それでも、こういう「分からないけど、もっと知りたい」と思わせてくれる話って最高ですね。

完全に理解できなくてもいい。

「宇宙って、想像していたより遥かにヤバい場所なんだな……」

それだけは、なんとなく分かった気がします。

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