ニュース番組「ABEMA Prime」が、イランの首都テヘランの上空で撮影された光る物体の映像を取り上げ、出演者がその正体や、UFOとUAPをめぐる安全保障の問題について議論しています。この記事では、番組で語られた見方を話題ごとに紹介しながら、確認できている事実を短く添えていきます。
テヘランの夜空に映った光
番組で紹介された映像には、雲の合間を、色とりどりの光を放ちながらゆっくり移動していく物体が映っています。インターネット上では、UFOではないか、新しい兵器ではないかなど、さまざまな説が飛び交ったという話が出てきます。
出演した専門家の見方で目立ったのは、「電光タコ」と呼ばれる光る凧や、イルミネーション付きのドローンではないか、というものです。近年は中国などでこうした凧やドローンが流行していて、RGBのようににぎやかに光る様子は、見つかりにくさを重んじる軍事用の機体とは合わないため、娯楽用や観測用のものと考えるほうが自然だ、と語られています。
また、この物体は民間の航空レーダーにはとらえられておらず、高度が1,000メートルなのか2,000メートルなのか、雲がどのくらいの高さにあったのかもはっきりしない、という点にも触れています。
確認できていること:IBTimes UKによると、映像は2026年9月20日の夜にテヘランで撮影されたとされています。物体の大きさや高度、距離、速度は確認されておらず、イラン当局も正体を明らかにしていないと報じられています。
映像を広めた通信社と50年前の事件
番組では、この映像を広めたのがファルス通信で、軍とつながりのある報道機関だという点が取り上げられています。イスラム革命防衛隊が新しい兵器の開発を発表した時期と重なっていることや、1976年にテヘラン上空で起きた有名なUFO遭遇事件を引き合いに出していることから、政治的な宣伝のねらいがあったのではないか、という見方が紹介されています。
一次情報が少なく、情報の確かさにも疑問が残るため、新しい兵器や未知の現象としてのUAPである可能性は1桁台と、かなり低く見積もられています。
確認できていること:Wikipedia英語版によると、ファルス通信はイスラム革命防衛隊に近い通信社とされています。1976年9月19日には、テヘラン上空で目撃された正体不明の物体に向けて、イランのF-4戦闘機2機が発進したと記録されています。
UFOからUAPへ、言葉の変化
UFOをめぐる世界の受け止め方は、SFのような話から、現実の安全保障の課題へと大きく移ってきている、と語られています。その変化をよく表しているのが、言葉の使い分けです。
UFO(未確認飛行物体)は空を飛ぶ物体を指す言葉ですが、UAP(未確認異常現象)は、物体だけでなく、気象条件などによって起こる異常な現象まで含めた考え方だと説明されています。アメリカの国防総省などがこの言葉を使っている、という話も出てきます。
確認できていること:DefenseScoopによると、アメリカ国防総省は2022年12月、UAPの意味を「未確認空中現象」から「未確認異常現象(Unidentified Anomalous Phenomena)」に改め、水中の物体や、空と水中などをまたいで動く物体も対象に含めたとされています。
アメリカで進む情報公開と議会の公聴会
アメリカの動きとして、国防総省がホームページでUAPの映像や文書を公開していることが取り上げられています。トランプ大統領の指示もあって、過去の機密ファイルの開示が進んでいる、という話も出てきます。
連邦議会では公聴会が開かれ、元軍のパイロットらが、UAPを目撃したという証言や、政府による情報の隠ぺいを訴えたことにも触れています。弱みをさらしてでも、すべての機関で調査を進める姿勢を示すことが、中国やロシアなどへのけん制や、防空体制の見直しにつながっている、という見方が紹介されています。
確認できていること:NPRによると、トランプ大統領は2026年2月、国防総省などの政府機関に、UFOやUAP、地球外生命に関するファイルを公開するよう指示したとされています。また、アメリカ下院の監督委員会によると、2023年7月26日に小委員会でUAPの公聴会が開かれ、元海軍飛行隊長のデビッド・フレイバー氏らが証人として出席しています。
日本で生まれた超党派の議員連盟
日本でも、UAPを安全保障上の脅威として受け止める動きが本格的になってきている、と番組では語られています。中国の偵察気球と推定される飛行物体が日本の上空を通過していた問題などをきっかけに、超党派の議員連盟ができたという流れです。動画では「UFO議連」と呼ばれていますが、正式な名前は「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」とされています。
この議連は、UAPの情報を集めて分析する専門の機関を作るよう、国に求めていると紹介されています。領空侵犯への対応や、原子力発電所の上空に何かが入り込むといった、安全保障上の脅威についても議論している、という話が出てきます。
確認できていること:カナロコ(神奈川新聞)によると、この議連は2024年6月6日に設立総会を開き、会長には浜田靖一氏が就いたとされています。共同通信によると、2026年5月には、内閣官房に司令塔の機能を作るよう求める提言書を官房長官に手渡し、佐賀県の玄海原子力発電所の上空で目撃された正体不明の現象について、情報を一元化できなかったと指摘しています。
自衛隊の対応の移り変わり
これまでの自衛隊や防衛省は、「領空侵犯として対処する枠組みがない」「関与しない」といった姿勢が中心で、パイロットからの報告も、気象観測用の気球だろうといった個人の判断で片づけられがちだった、と語られています。
それが今では、自衛隊の内部で、識別できない物体に出会った時には報告や撮影をするよう通達が出ている、という話が出てきます。他国の偵察気球の問題があってからは、対領空侵犯措置として撃ち落とすこともできる枠組みへと、大きな転換が起きている、という見方も示されています。
確認できていること:FOX 5 Atlantaによると、2020年9月、当時の河野太郎防衛相は、正体の分からない物体を記録し、撮影して分析するよう自衛隊に指示したとされています。自民党によると、2023年2月、防衛省は国内で確認されていた気球を中国の無人偵察用気球と強く推定すると発表し、政府は領空侵犯する無人機に武器を使える要件を明確にしたとされています。
偏見をなくし、記録を積み重ねる
番組では、社会や人権の面での課題にも触れています。UAPを目撃したと証言したパイロットや専門家が、オカルトのように扱われたり、左遷されたりしてきた経緯がある、という話です。
そのうえで、偏見をなくし、事実にもとづいて議論や調査を進めることや、ドライブレコーダーの映像のような記録データを積み重ねていくことが求められている、と語られています。
おわりに
夜空に浮かんだ一つの映像から、話はUAPという言葉の意味や、日本とアメリカの安全保障の取り組みにまで広がっていきました。正体がはっきりしないものだからこそ、決めつけずに記録を集め、落ち着いて確かめていく姿勢が大切なのかもしれません。
僕のひとりごと
「UFOか?」「新兵器か?」と、いろいろな説が出ていますが、映像を見た僕の感想としては……いや、これ、凧じゃないかな?と思いました。
カラフルにピカピカ光りながら、雲の間をゆっくり飛んでいる感じを見ると、どうしても「電光タコ」が頭に浮かんでしまいます。
もちろん正体がはっきりしない以上、UAPとして調査すること自体は大事だと思います。でも、宇宙人説より先に、まずは誰かが空で光る凧を飛ばしていた、という可能性を考えたくなります。UFOのロマンもいいけれど、今回は凧説に一票です。
参考情報
- YouTube「「UFO」イランの上空に?安全保障上の脅威になる?日本も研究すべき?真面目に議論|アベプラ」
- IBTimes UK「Viral Tehran UFO Lights Resemble Consumer Drones as Secret Military Aircraft Theory Remains Unproven」
- Wikipedia英語版「Fars News Agency」
- Wikipedia英語版「1976 Tehran UFO incident」
- DefenseScoop「Pentagon changes ‘UAP’ terminology as it looks to investigate unexplainable sightings across all domains」
- NPR(Michigan Public掲載)「Trump says he doesn’t know if aliens are real but directs government to release files on UFOs」
- アメリカ下院監督委員会「National Security Subcommittee to Hold Hearing on Unidentified Anomalous Phenomena」
- カナロコ(神奈川新聞)「超党派『UFO議連』が設立総会 国会議員28人参加、元米政府高官が講演」
- 熊本日日新聞(共同通信)「議連、UFO対応に司令塔機能を 官房長官に提言」
- FOX 5 Atlanta「Japan is now tracking and investigating UFOs」
- 自由民主党「気球等の無人機を巡る対処方針明確化 Q&A形式で解説します」



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