アメリカの大統領が、UFOの機密ファイルを国民に向けて開く。しかも一言、楽しんでくれ、と添えて。まるで映画の予告編のような話ですが、これは2026年に実際に起きたことです。トランプ大統領の指示で始まったUFOファイルの公開は、5月の第1弾から10月の第7弾まで続き、公開された資料は合計で475点ほどになりました。
中身は、軍が撮影した映像や写真だけではありません。アポロ計画の時代の記録、FBIの証言書、ワープ航法の研究文書、そして今年6月に目撃されたばかりの漆黒の三角形の物体の報告書まで入っています。この記事では、トランプ大統領がなぜ公開に踏み切ったのか、各弾の目玉は何だったのか、そして公開されたファイルが本当に決定的な証拠と言えるのかを、たどっていきます。信じるか信じないかは、あなた次第です。
トランプ大統領の、楽しんでくれ、の一言から始まった
始まりは、2026年2月19日のトランプ大統領の投稿でした。示された非常に大きな関心に基づき、地球外生命やUAP、UFOに関する政府ファイルを特定し、公開するプロセスを始めるよう関係省庁に指示する、という内容です。大統領が自ら、宇宙人という言葉を含む指示を出す。これは過去の政権ではなかったことです。
受けた側の国防総省(現在は戦争省と呼ばれています)は、PURSUEという名前の専用制度を立ち上げました。日本語にすれば、UAP遭遇事例に関する大統領機密解除・報告システムです。公式サイト WAR.GOV/UFO が開設され、機密解除された資料が数週間ごとにまとめて公開される仕組みになりました。
5月8日の第1弾公開の場で、トランプ大統領は声明を出しています。これまでの政権はこの件について透明性を欠いてきた。新たな文書や動画によって、国民は一体何が起こっているんだ、と自ら判断することができる。そして最後に、楽しんでくれ、です。ヘグセス国防長官も、前例のない透明性という言葉を繰り返しました。
僕がこの一連の流れで面白いと思うのは、UFOの情報公開が、陰謀論者の長年の要求であると同時に、大統領本人の売り文句にもなっている点です。隠す側だったはずの政府のトップが、開ける側のヒーローを演じている。この構図の転換が、今回の公開がいちばん今までと違うところだと思います。
確認できていること:国防総省の公式サイトによると、公開制度の名前はPURSUEで、トランプ大統領の2026年2月19日の投稿が指示の起点です。資料は数週間ごとの一括公開で順次追加され、公開されるのは政府が決定的な判断を下せなかった未解決の事例だと、公式サイト自身が説明しています。
第1弾の中身、アポロ12号の写真まで入っていた
2026年5月8日、第1弾として約170点のファイルが公開されました。軍用機のセンサーが捉えた映像や、目撃の報告書が中心でしたが、目を引いたのは古い記録です。1969年、アポロ12号の月面着陸ミッション中に撮影された、未確認現象の写真が含まれていたのです。さらに、アポロ17号の乗組員が月へ向かう途中で目撃した物体について語った記録も入っていたと報じられています。
月面の写真、という言葉の破壊力はすごいものがあります。アポロ計画といえば、人類最大のプロジェクトであり、同時に月面着陸はなかったという陰謀論の本場でもあります。その公式記録の中に、未確認とされる写真が混じっていた。この事実だけで、ネットがざわつくのは無理もありません。
ただし、冷静な注釈も必要です。未確認というのは、正体が地球外のものだと確認された、という意味ではありません。写真やデータが不足していて、判断できなかった、というだけの話です。アポロの時代の宇宙飛行士たちは、窓の外の光や破片のようなものを数多く目撃していて、その多くは後に、ロケットから剥がれた破片や氷の粒などと説明されてきました。今回の写真が、そのどれとも違うという証拠は、公開資料の中にはありません。
それでも僕は、この第1弾の顔ぶれは上手いな、と思いました。軍の最新映像だけなら、いつもの話で終わります。そこにアポロという歴史の看板を混ぜることで、UFOに詳しくない人まで振り向かせる。第1弾は、公開の宣言であると同時に、ショーの開幕でもあったわけです。
確認できていること:ロイターの報道によると、第1弾は2026年5月8日に約170点が公開され、1969年のアポロ12号のミッション中に撮影された未確認現象の写真が含まれています。今後も機密解除に伴って順次公開される見通しだと、国防総省は説明しています。
第5弾と第6弾、正三角形とワープ研究
公開はその後も続きました。5月22日に第2弾、6月12日に第3弾、7月に第4弾と、数週間おきに新しい束が積み上がっていきます。そして8月7日の第5弾では、ひときわ大きな数字が出てきました。推定500フィート、日本の単位で約150メートルの正三角形の物体です。
これは、2002年にアフガニスタンのバグラム上空で、星々を覆い隠しながら進む巨大な三角形を見た、という元軍用機パイロットの証言を、FBIが2024年に聞き取った記録です。150メートルといえば、サッカー場を斜めに置いたような大きさです。そんなものが音もなく空を進んでいたとしたら、確かにただのドローンでは済みません。もっとも、これもあくまで証言の記録であり、映像や計測データが一緒に公開されたわけではありません。
そして9月18日の第6弾は、毛色がガラリと変わりました。71点のうち中心になったのは、目撃談ではなく研究文書です。国防情報局が2008年から2012年にかけて行った先進航空宇宙兵器システム応用プログラム、AAWSAPの資料で、ワープ・ドライブ、ワームホール、反重力や負の質量を使った推進、クローキング(不可視化)技術、地球外文明の数を計算するドレーク方程式、異常現象に近づいた人体への影響まで、扱うテーマが並んでいます。
アメリカ政府が、税金を使ってワープの研究文書を作っていた。この見出しの力は認めます。ただ、ここにも注釈があります。この研究文書の多くは、以前から公開されていたもので、今回が初公開というわけではない、と指摘するまとめサイトもあります。第6弾には他にも、2025年に中東上空で6個の小さな球体が時速約770キロでまとまって飛ぶ映像や、1952年にユタ州トレモントンで撮影された発光物体の古いフィルムも入っていました。新しいものと古いもの、初公開と再公開が、同じ束に混ざっているのが、この公開の実像です。
確認できていること:東スポWEBの報道によると、第5弾は2026年8月7日に41点、第6弾は9月18日に71点が公開され、第6弾までの累計は447点になりました。第6弾の内訳はPDF文書55点、映像15点、音声1点で、71点中64点には何らかの黒塗りが施されていたことも報じられています。
最新の第7弾、今年6月の漆黒の三角形
現時点の最新は、2026年10月23日に公開された第7弾です。28点、今回は映像がなく、全てPDFの文書でした。その目玉が、つい数か月前、今年6月に起きたばかりの目撃事件です。
場所はアメリカ西部の、詳しい場所が明かされていない国家安全保障関連施設の近く。目撃したのは一般の人ではなく、連邦捜査官たちです。日没後、山の稜線の上に、光を反射しない漆黒の大きな三角形の物体が浮かんでいました。翼幅は推定で約2.7メートルから4.6メートル。物体は完全に無音のまま、傾きも揺れもせずに約61メートルから91メートルまで垂直に上昇し、空中で約20秒間静止したあと、軍用戦闘機に匹敵する速度で突然飛び去った、と記録されています。
赤外線スコープで見ると、物体は周囲より高温で、熱は機体全体に均一でした。なのに、目に見える排気ガスは一切なかった。翌朝、現場の地面を調べても、残骸も傷痕も何も残っていなかった。この事件については、国防総省の全領域異常解決局AAROによる聞き取りメモと、捜査官たちがFBIに提出した署名入りの証言書の、2種類の文書が公開されています。AAROは、この事例は米西部で報告された他の事例と特徴がよく一致しているため、さらなる調査が必要だと判断したと記しています。
僕がこの第7弾に注目するのは、証言者の質です。UFOの目撃談は、たいてい誰が見たのか分からない話ばかりです。ところが今回は、現職の連邦捜査官が、署名入りの証言書という形で記録を残している。それでも正体は分からない。分からない、という結論が、公式文書の形で積み上がっていく様子は、不気味でもあり、少し滑稽でもあります。
一方で、慎重な声も出ています。国防総省のUFO調査部門AAROの元トップ、ショーン・カークパトリック氏は11月1日、この三角形の話は証言だけに基づくもので、裏付ける確かなデータはない、と述べました。未解決というのは、説明を超えた何かと出会ったという意味ではない、という指摘です。
確認できていること:東スポWEBとCBSニュースの報道によると、第7弾は2026年10月23日に28点の文書が公開され、今年6月に米西部で連邦捜査官らが目撃した無音の三角形の飛行物体の詳細が含まれています。物体の大きさ、垂直上昇、約20秒の静止、高速での離脱は、AAROのメモとFBIへの証言書の両方に記録されていますが、正体についてはどちらの文書も結論を出していません。
それでも決定的な証拠とは言えない理由
ここまで読むと、ついに政府が認めた、と言いたくなります。でも、このサイトの約束は、信じるか信じないかはあなた次第、事実はちゃんと添える、です。公開されたファイルが、まだ決定的な証拠とは言えない理由も、きちんと並べておきます。
1つ目、公開されているのは未解決の事例だけだ、という点です。これは国防総省自身が公式サイトで明言しています。データが足りなくて判断できなかった事例の束は、言い換えれば、分からなかったもの置き場です。地球外の技術だという決定的な証拠は、7つの弾のどこにも入っていない、というのが、資料を追う専門サイトの共通した評価です。
2つ目、黒塗りの多さです。第6弾では71点中64点に黒塗りがありました。開かれたとはいえ、扉はまだ半分閉まっています。3つ目、目玉に見える文書の中に、以前から公開されていたものの再公開が混ざっている点です。第6弾のワープ研究文書が、その代表例でした。
そして4つ目が、いちばん政治的な話です。この情報公開には、イラン情勢やエプスタイン氏の事件などから国民の目をそらす狙いだ、という批判が当初からあります。逆に、機密解除を支持する議員たちからは歓迎の声も上がりました。どちらが本当の動機なのかは、ファイルを開いても書いてありません。ただ、大統領が楽しんでくれ、と言う以上、この公開が政治の舞台の上にあることだけは確かです。
確認できていること:国防総省の公式サイトは、公開資料が未解決の事例であること、つまり政府が決定的な判断を下せなかった事例であることを明記しています。情報公開への批判として、他の問題から目をそらす狙いだという声があったことは、ロイターも報じています。
おわりに
整理すると、こうなります。2026年2月、トランプ大統領がUFOファイルの公開を指示した。5月に公式サイトが開かれ、第1弾にはアポロ12号の写真が入っていた。その後も公開は続き、第5弾では約150メートルの正三角形の証言、第6弾ではワープ研究の文書、第7弾では今年6月に連邦捜査官が見た漆黒の三角形と、目玉を変えながら10月までに475点ほどが積み上がった。ただ、その全ては未解決の事例であり、決定的な証拠はまだ出ていない。
公開はこれで終わりではありません。国防総省は、資料が見つかり機密解除されるたびに、今後も順次公開する姿勢を示しています。アメリカの議会では、中間選挙のあとに新しいUFO公聴会の開催を検討する動きも報じられました。一方で、今日投開票の中間選挙で民主党が下院を奪還すれば、トランプ政権の情報公開の取り組みが停滞するのではないか、という見方も出ています。UFOファイルの運命が、選挙の結果にまで結びついている。2026年のUFO話は、宇宙の話であると同時に、がっちり地球の政治の話でもあるのです。
次の弾が出るのか、出るとしたら何が入っているのか。そして未解決の山の中に、本当に説明のつかない1点が混ざっているのか。見届ける材料は、公式サイトに全部置いてあります。

僕のひとりごと
正直に言います。僕はこの手の話に、かなり弱いです。
大統領がUFOのファイルを出す。しかも、楽しんでくれ、ですよ。この一言で、僕の中の少年の部分が完全に目を覚ましました。子どもの頃、図書館でUFOの本を借りて、エリア51だのロズウェルだのを読みふけった世代です。大人になって、まさか本物の政府のサイトで、UFOファイルを自分でダウンロードできる時代が来るとは思いませんでした。しかも無料で、誰でも、今すぐです。
実際に公式サイトを開いてみると、これがまた味気ないのです。きらびやかな特設ページではなく、検索と絞り込みのついた、役所のデータベースそのもの。ファイル名は記号と数字で、中身は英語のPDF。宇宙人の死体の写真も、円盤の設計図も、当然ながらありません。あるのは、誰かが見た、計器が反応した、でも分からなかった、という記録の山です。
でも、僕はこの味気なさこそが、逆に本物っぽいと思うのです。本当に政府が何十年もため込んできた未解決のゴミ箱をひっくり返したら、中身はこうなるはずです。9割は退屈で、時々、三角形みたいな妙なものが混ざっている。劇的な大公開を期待していた人には物足りないでしょう。でも、陰謀論が言ってきた、国は全てを隠している、という前提は、この山の前では少し形を変えます。隠すのをやめたら、出てきたのは分からない、の山だった。それはそれで、1つの答えだと思うのです。
もちろん、目をそらす狙いだという批判も頭に入れています。政治家のやることは、全部を額面通りには受け取れません。ただ、動機が何であれ、475点の一次資料が誰の目にも開かれたという事実は残ります。疑う材料も、信じる材料も、同じ場所に置いてある。これは、UFO好きにとっては、文句なしにいい時代です。
次の第8弾がいつ出るのかは、まだ分かりません。選挙の結果次第という話まであります。でも僕は、公式サイトを時々開いて、新しい束が積まれていないか確認すると思います。子どもの頃に図書館で探した答えは、どうやら役所のデータベースの中に、黒塗りつきで眠っているようですから。
信じるか信じないかは、あなた次第。でも、見るかどうかは、今夜にでも決められます。さて、あなたは公式サイトを開いてみますか。
参考情報
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